兼好法師の教え(静岡事務所 牧田)

先日、なにげなくテレビを見ていると、吉田兼好が書いた『徒然草

の解説をしていました。

徒然草』は言わずと知れた『枕草子』『方丈記』と並び、日本の

三大随筆の一つとして、高く評価されてる書物です。

しかし殆どの方が受験用に習った程度で、じっくり内容を理解する

と言う事はしていないのではないか、と思います。

現に私も、このテレビを見て初めて内容を少し理解しました。

この解説で、特に興味深かった事を皆さんにご紹介致します。

徒然草』は鎌倉時代に書かれた随筆で、「つれづれなるままに…」

という書き出しで始まりますが、これは「やることがないので一日

中机の前にいるときに心に浮かんだことを適当に書きとめておいたもの

である。したがって、実にくだらない馬鹿馬鹿しいものである。」と

いう現代語訳となり、実にお気楽な書物の様に思えます。

しかし、第150段にはこのような事が書いてあります。

『能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知ら

れじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ」

と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。…』

これは「芸事や稽古事を始めようとする人で「下手なうちは人に隠して

おこう。こっそりと稽古をして、うまくなってから人前に出て披露する

のが恥をかかなくていい」などと言う人がよくいるが、こんなことを言

う人はけっしてどんな芸も身につけることは出来ないものだ。 むしろ、

まだ下手なうちからうまい人の中に混じって、まわりからけなされたり笑

われたりしても、それを恥とはせずに、平気で受け流すようにしないとい

けない。そうして、怠けず自己流にならずに、長年の間稽古に励んでいる

なら、たとえ生まれつきの才能がなくても、才能があるのに怠けている人

よりも早く上達できるものだ。そして、そういう人が最後には能力を飛躍

的に伸ばして、誰もが認める第一人者となるのである。」という現代語訳

になります。

下手なうちはみんなに内緒にしておいて、上手になったら披露しようと言う

事は良くある事です。しかし、恥を忍んで上手い人と一緒に練習しないと

上達しないのは事実ですし、くじけてしまう事も良くあります。

800年も前から、現代に通じる事が言われている事に驚きます。

逆に、人間はいつの世になっても変わっていないと言う事なのでしょう。

この他にも『徒然草』には男女間の関係の事等、興味深い事が沢山書いて

あります。

これを機に、もう一度読み返して、生活の知恵としていきたいと思います。